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(07)
ガンを治すのは本当に医師なのか

 みなさんが病気に罹った場合はどうされるでしょうか。
人それぞれでしょうが、ある人は何もせずに寝ているだけだとか、薬局でお薬を買って飲むとか、そして病院に行って医師の診察を受けてみるとかいろいろあると思います。

ここで少し考えてみましょう。病気は一体誰が治すのでしょうか。

■ 西洋医学と東洋医学における考え方の違い

 現代における日本の医学の歴史は、明治以降、それまで病気というよりも病人としての人間を治してきた漢方と呼ばれる東洋医学が、科学的思想に基づいた西洋医学の導入によって、近代化という大義名分の名の下に一方的に抹殺されてしまった歴史だと言えます。 
 

 西洋医学は、病気の本質を、病気になる原因を探す努力をし続ける方向で解明しようとしてきました。感染症においては細菌、ウイルス、寄生虫など、原因となる外的要因を物質的な側面で求めてきました。もちろん感染症以外の病気もそのメカニズムを考えて、原因を取り除くように治療します。治療も一応はその原因に対処するような薬が開発されて症状を抑えようとしますが、根本的な原因を治すことは苦手です。 


 たとえば高血圧症では血圧を下げる降圧剤を処方しますが、高血圧症そのものを治す薬はありません。糖尿病も血糖を下げる薬はありますが、糖尿病自体を治す薬はありません。風邪も熱を下げたり、咳や鼻水を抑える薬はありますが、原因であるウイルスを治す薬はありません。たしかに西洋医学では病気の原因を考え、病態を改善させるように努力しています。しかし結果的には、症状に対処する治療法が選択されている場合が多いのです。

 一方、東洋医学は、外的要因である「外邪」に対する病人の反応を「証」ととらえ、病気の時間的流れを観察して体と病気の闘い方によっていろいろな症状が出ると考えました。もともと2千年、3千年といったはるか悠久の時を経過した伝統医学ですので、病気の原因を科学的に理解できるはずもありませんが、東洋医学で重要と考えるのは病気の原因よりも病気の流れ、病気の東洋医学的な体の位置、患者さんの体力、症状の表れ方です。
 

 漢方の物差しである「陰陽」「虚実」「寒熱」「表裏」といった考え方で、患者さんの状態を「望診」「聞診」「問診」「切診」という診断法を用いて詳しく観察して処方を決めます。 東洋医学では現代医学の病名はあまり重要ではありません。たとえば、葛根湯という処方は肩こりにも使いますし、体力のある人の風邪にも使います。小青竜湯は鼻水の多い風邪に使われますが、気管支喘息やアレルギー性鼻炎にも使われます。

 西洋医学は、原因を追求して病名が分かってから原因に対処するように治療が行われ、病名が分からなければ治療ができないのです。患者さんがいくら症状を訴えたとしても、検査結果が正常ならば「異常なし」と診断されてしまいます。
 

 それに対して東洋医学は結果である症状を把握して、その症状が改善するように体を調えて治療をします。西洋医学的な病名は必要がなく、患者さんの「証」、つまり症状が正確に把握できれば治療ができます。これが西洋医学と東洋医学の病気に対する見方や考え方の特徴的な違いです。




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