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■ 胃からの排液が3分の1に減少
その患者さんは62歳の男性です。既往歴では、昭和63年に脳梗塞になった以外には、特に何もありませんでした。平成3年3月20日頃に感冒様の症状になり、22日の午後にトイレで約5分間ほど気を失ったことがありました。その後、突然に激しい嘔吐を訴えられて、家の近くの病院に入院されました。入院後、すぐに鼻から胃管を挿入され、その日から1日に約3000〜4000mlの排液量が持続、入院後の精査で膵頭部ガンと診断されました。手術目的で大学病院に紹介となり、その年の4月12日に入院となりました。
大学病院に入院した後も、胃管から1日に約3000〜4000mlの大量の排液が持続しました。しかし、入院後の腹部CT、エコー等の精査では十二指腸壁の肥厚の所見のみで、膵頭部ガンは否定されました。4月19日に行った低緊張性十二指腸造影では、十二指腸下降脚に著明な狭窄像を認めました。十二指腸閉塞症の原因は不明で、確定診断がつかないために試験開腹術を予定されていました。
私が友人の主治医より依頼を受けて気功治療を開始したのは、そんな4月20日のことでした。患者さんには「お腹の動きを良くする治療を始めます」と言って、気功治療のことは一切説明しませんでした。すると翌々日の22日の胃管排液量(これは21日の昼から22日の昼までの合計)が、いままで3000mlほどあったのにも関わらず、1020mlほどに減少しました。
つまり、気功治療を始めた翌日には胃管かの排液量が減少し、十二指腸閉塞部から肛門側に胃内容が通り出したことになります。その後さらに排液量は減少し、5月2日に胃管を抜去することができました。後日、看護婦さんから聞いた話では、気功治療を開始した頃から全身状態の改善が見られ、もともと便秘がちだったのが便通も良好となり、それと同時に入院後、夜間に見られていた尿失禁も改善してきたということです。
看護記録を調べてみましたが、20日以後に尿失禁という文字は記載されていませんでした。その後もさらに順調に経過し、もうそろそろ退院のことを考えた時期の5月27日に行った内視鏡検査では、狭窄部は著明に改善しファイバーも十分に通過可能になっていました。しかし、この時に偶然に胃前庭部大弯側に早期胃ガンが見つかりました。
6月19日に、早期胃ガンのために幽門側胃切除術が行われました。私は手術には直接関与していませんでしたが、後から主治医から聞いた話によりますと、十二指腸周囲を手術中に検索すると、十二指腸壁の繊維化が著明で十二指腸の剥離が困難だったということです。十二指腸には通過障害はなく、膵頭部にも腫瘍などは認めなかったという所見でした。
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