|
(14)
“希望”を持つだけでガンが治る
この事実
|
|
■ 心と体の密接な関係
人間は、単に物質的な肉体だけの存在ではなく、心や魂などの存在まで含めた統合的な存在として捉えるべきであることは、プロローグでも述べました。魂といった霊的レベルになると私の認識を超えてしまいますが、病気との関係を考える場合、心に代表される“精神的な要素”を無視するわけにはいかないのは異論がないところだと思います。ホリスティック医療とは、人間を、そうした統合的存在として見て、全人的な関わりによって患者さん本人の自然治癒力を高め、患者さん自らが病気を克服していくためのサポートをする医療と言えます。
そのためには、西洋医学的な医療に片寄らず、あらゆる方法を総合的に医療に活かしていきます。その大きな要素のひとつが、心の問題なのです。「病は気から」と言う言葉があります。これは、江戸時代から、すでに日本で使われていた言葉だそうです。昔から、病気は心の持ちようで重くもなれば軽くもなる、ということが人々の問で認識されていたのでしょう。
人間の心と体は非常に密接なつながりを持っているのです。心理的なストレスによって生じた体の症状や病気である「心身症」は、すでに私たちの社会では馴染みの深い病名になっています。また逆に、体のどこかに疼痛や不快な症状があれば、精神的にも気分がすぐれないことは、誰しもが日常よく経験していることです。体の働き方は心に影響を与え、心の働き方もまた体に影響する。それが人間という存在なのです。
その心の力を極限にまで高めた人の記録があります。アメリカの著名な心理学者ブルーノ・クロッファー博士が、その人物のことを書き留めているのです。それは、1957年に、ガンの一種である悪性リンパ腫に侵されたひとりの男性、ライト氏に関わる記録です。ライト氏はオレンジほどにも成長したいくつもの腫瘍のために、誰の目から見ても数日後の死が予測されてしまうような状態でした。そんなとき、アメリカでガンの新しい特効薬として、クレビオゼンという新薬が誕生したというニュースが流れました。ライト氏は、医師に対して自分にもその新薬を試してほしいと懇願したのです。
しかし、医師は、その申し出を拒みます。それは、この新薬は「少なくとも3ヶ月以上生きられる見込みのある患者にしか使えない」という取り決めがあったからです。それでも、彼は執拗にその新薬を使うことを頼み続けました。ついにライト氏の熱意に負けた医師が、おそらく月曜日までは彼の命は持つまいという予想のもとに、金曜日に一度だけクレビオゼンを注射するのです。すると、どうでしょう。オレンジ大に腫れあがっていたライト氏のガンの塊は縮小し、あらゆる症状が消えていきました。10日後、彼は退院するまでに回復したのです。
しかし、2ヶ月後、ひとつの記事がライト氏の喜びに水をさすことになりました。クレビオゼンの効果に疑問が出されたのです。ほどなく彼は再び入院することになりました。すべての症状が、希望を失った彼をいっそう苦しめるようになったのです。
そのとき、ライト氏の苦しみを見かねた医師が、「これは前の薬の2倍の効き目がある改良型のクレビオゼンだ」と言って、ただの滅菌水をライト氏に注射したのです。
ライト氏は、またまた驚異的な回復を示し、今度は自家用飛行機を乗り回すまでになったのです。まさに奇跡が起こりました。
ところが、2ヶ月後、今度はアメリカ医師会がクレビオゼンはまったく無効であるとの最終結果を新聞に発表しました。ライト氏の症状は三たび悪化し、再入院します。そして、5日後、彼は命を終えたのです。希望が彼を奇跡的に癒しました。そして絶望が彼の命を奪いました。この記録の驚愕すべき点は、2度目の入院時に滅菌水を注射されただけにも関わらず、それが前以上に効果のある特効薬だと信じたとき、ライト氏の症状が急激に回復したという点です。まさにプラシーボ効果(ニセ薬効果)の典型を表す例です。
人間は、たとえそれがニセ薬だとしても、本人がそれを特効薬だと信じている限り効果を表すのです。ここに心という存在が見えます。ニセ薬を特効薬だと信じるのは、心の働きです。心が、自分はこの薬で治ると信じ、希望を持ったとき、本当に本人の自然治癒力が高まり病気を治してしまうのです。逆に言えばどんなにいい薬でも、本人がその効果を信じない限り、その投与は無意味ということにもなります。それほど心の働きが体に与える影響は大きいのです。
|
|
Copyright ©
This site. All rights reserved.
|
|
|