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■ 抗ガン剤のルーツは毒ガスだった
抗ガン剤も現代医学においては、ガン治療の大きな柱です。ガンはある程度の大きさになれば、原発巣から血行性やリンパ行性に全身に転移したり、胸腔内や腹腔内のガンは胸膜播種性あるいは腹膜播種性に遠隔転移することがあります。全身に転移したガンに対して、現代医学では、手術療法や放射線療法のような局所療法で治療できる段階を超えてしまうと、
全身治療である抗ガン剤による化学療法に頼らざるをえないのです。
しかし、この抗ガン剤は、もともとは第1次世界大戦の時に開発された毒ガスの研究から始まりました。
多くの毒ガスが開発されたなかで人体への影響が詳しく調べられて、イペリット(からしに似た臭いからマスタードガスとも呼ばれた)に抗ガン効果があることが確かめちれ、
さらにイペリットの構造式の硫黄を窒素に置き換えられたナイトロジェン・マスタードが開発されました。
それが最初の抗ガン剤で、1946年のことでした。人を殺すために作られた毒ガスが、今度はガン細胞を殺す目的の抗ガン剤へと姿を変えたのです。
ガン細胞にダメージを与えると共に正常細胞にもダメージを与えるのは、抗ガン剤の宿命だと言えます。
もしこれが自然治癒力を高めてガン細胞に戦うことを目的に開発されたなら、現在のように抗ガン剤の副作用に苦しめられるようなことは無かったかも知れません。
ガン細胞を殺すために抗ガン剤はより強力なものへと開発が進みましたが、
ガン細胞を殺す力が強ければ強いほど正常細胞へのダメージが強くなり、副作用も強力になってきます。
比較的最近になって、塩酸イリノテカンという新しい抗ガン剤が開発されて、臨床治験の段階で477人に使用されて20人(4.2%)の人が副作用で死亡したことが、
平成5年の終わりに報道されました。その抗ガン剤はある種のガンに20パーセントの有効率があったということで認可されましたが、
80%の人には無効で、なかには死ぬような副作用があったにも関わらず、厚生労働省が抗ガン剤として認可しているのです。
しかも平成9年7日付の朝日新聞(朝刊)の記事によりますと、塩酸イリノテカンは平成6年4月の発売開始から平成9年3月までの3年間に5445人に投与されて、
副作用で第一製薬の「トポテシン」で26人、ヤクルトの「カンプト」で16人の計42人が死亡しています。ガン患者さんの3割から4割の方は、
病気のガンによってではなく、ガンを治療するために使われた抗ガン剤の副作用によって亡くなってしまうとも言われています。
もし病院で抗ガン剤の治療により亡くなっても、抗ガン剤の副作用が原因だったというような説明は、おそらく病院ではされないと思います。
アメリカでは、抗ガン剤治療は化学療法に精通している専門の医師が治療するそうですが、日本では最近になってようやく化学療法の専門医が養成されるようになりましたが、一般の病院ではほとんどが普通の内科や外科の医師が抗ガン剤治療を行っているのです。
抗ガン剤治療は全てのガンに効果を示すことはなく、国としての個々のガンに対するマニュアルもありません。
大学病院などの大病院では、「治験」といって臨床試験で新しい抗ガン剤が有効かどうか、
多剤併用でどの抗ガン剤の組み合わせが有効かどうかなどのデータを得るために、主治医の治療方針より治験を協力している大学の担当教室や病院の意向が優先されることはあります。
そして、抗ガン剤治療により患者さんが亡くなったとしても、
主治医からは「抗ガン剤によるガンの治療を行いましたが、治療の効果がなくてガンのために亡くなってしまった」と説明されることになるのです。
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